故人が遺した遺品を整理するのは心理的負担と時間が掛かるものです。
想い出を偲び遺品整理が終わった後に、法的な対応をしなくてはならなかったなどトラブルになるケースもあります。
ここでは遺品整理における法的対応と、亡くなったときに必要な対応を解説します。
遺品整理における法的な対応について
遺品整理が必要になり、実際に行動に移そうと考えた時にまず最初に確認することが3点あります。
・遺言書があるか確認
・遺品整理の前に遺産分割協議をしたか確認
・相続放棄等の有無を確認
この3点を確認せずに遺品整理を開始してしまうと、親族同士のトラブルに発展してしまう可能性がありますので事前に打ち合わせる必要があります。
遺言書があるか確認
遺言書では、特定の遺品を相続人以外の任意の相手にも相続させることができます。
遺言書によって指定された相続方法は、法的に優先順位の高いものになると決められているので従う必要があります。
よってまずは遺言書の所在と、遺言書に故人が遺した所定の処分方法がないか確認します。
遺品整理が終わった後で遺言書を見つけたなどとならないように気をつけましょう。
遺品整理の前に遺産分割協議をしたか確認
遺産分割協議とは、相続人全員で遺産の相続分割方法を話し合う手続きのことをいいます。
相続人全員が遺品を相続する権利を有しているので、勝手に遺品整理を取り進めるのではなく遺産分割協議後に始めると安心です。
好意で遺品整理をおこなったのに、高価なものばかり独り占めしたのではなど、あらぬ疑いを掛けられると気持ちの良いものではありません。
遺産分割協議をすることで相続人全員の意思が確認できます。
相続放棄等の有無を確認
相続放棄とは、相続人自体を放棄する事で遺産を放棄する意思表示をした事を意味します。
よって遺品整理等の全てに関与できなくなります。
相続放棄では、財産となるものや逆に負債となるものも回避することができる法的手段です。
しかしながら相続放棄すると、遺品の不用品を処分することもできなくなるので注意が必要です。
亡くなった時に必要な法的対応
大切な人が亡くなった時は、頭が真っ白になり何から手をつけて良いのかわからなくなります。
亡くなった後に必要な法的対応は次のようなものがあります。
死亡届の提出
死亡届の提出は、亡くなってから7日以内に届書を作成して死亡者の死亡地・本籍地又は届出人の所在地の市役所、区役所又は町村役場に届け出る必要があります。
死亡届では、死亡診断書又は死体検案書も合わせて提出します。
火葬・埋葬許可申請の提出
死亡届と同じタイミングで火葬・埋葬許可申請の提出をおこないます。
日本では遺体を勝手に火葬や埋葬する事を法律で禁じていますので、各届けを受理した市町村長から許可をもらう必要があります。
世帯主変更
世帯主の場合は変更の必要はありませんが、万が一世帯主が亡くなった場合は住所地の市区町村役場に世帯主が変更になる申請として住民異動届を14日以内に届け出る必要があります。
健康保険・国民年金の資格喪失届の提出
上記の各届けを出した後は、忘れずに健康保険・国民年金の資格喪失届を市町村役場の年金課や年金事務所に提出します。
提出には期限があり、国民年金が14日以内、厚生年金が5日以内に届け出る必要があります。
遺品整理で法的対応が必要になるケース
遺品整理では、相続後に思わぬところで法的対応が必要になるケースがあります。
トラブルに発展させないためにも次のことには気をつけましょう。
遺品は不法投棄されることがある
遺品整理業者に不用品の回収をお願いして、安価に対応してもらい安心していたら後日その業者が回収した不用品を不法投棄していることが判明。
近年この様なトラブルが多くなっており、不法投棄された側も責任を問われる可能性があるので注意しましょう。
高額な遺品は申告が必要
安易な気持ちで遺品を形見分けしてもらい、その遺品が高価なものであった場合は注意が必要です。
高価な遺品は贈与税や相続税の申告が必要になります。
申告を忘れると延滞税や加算税が課されてしまいます。
悪質な場合は脱税として刑事罰を受けるケースもあるので迷ったら税理士に相談すると良いでしょう。
銃砲刀剣類の取り扱いには注意
故人の遺品を整理していると思いもよらぬ品々を所持していたりします。
ご高齢の方であれば戦時中に使用した軍刀や拳銃、または趣味で狩猟をしていた場合は猟銃などが見つかることがあります。
そのまま無許可で所持すると銃刀法違反により罰せられ、違反金などを支払う可能性もあります。
安易に骨董品として保管せずに所持許可を得るか専門店で廃棄処分してもらいましょう。
まとめ
遺品整理における法的手続きが必要なケースとその対応を解説しました。
相続のトラブルを防ぐには、遺言書の確認や遺産分割協議が終わってから遺品整理を開始すると些細な問題が発生しにくいので良いでしょう。
生前に愛用品の譲渡先などを確認しておくことで、故人の意思を尊重して形見分けをすることができます。
遺品整理や相続のことをまだ話し合われていない方は、これを機会に話し合われるとよいのではないでしょうか。